株式会社ステップ

吹田市南金田にある株式会社ステップは、今年で創業から 74年を迎えます。

創業時はガラスの施工を行っていましたが、40年ほど前から展示用ショーケースや陳列什器の販売、レンタルを始めました。圧倒的な品質の良さやコストパフォーマンス、しっかりとしたメンテナンスにより、今ではショーケース供給率業界トップクラスを誇っておられます。

新型コロナウイルス感染症の影響でたくさんのイベントが中止になり、一時的に業績が下がりましたが、いち早く感染拡大防止商品を企画設計、製造、レンタルを始めました。

「展示された商品を輝かせ、お客様を喜ばせたい」と語る、 代表取締役社長 中野聖二郎氏にお話を伺いました。

中野社長が社長に就任された経緯をお聞かせください。

私は以前、株式会社イベント21（以下、イベント21）で働いていました。父が創業した会社で、老人ホームや市役所など地域密着型でイベントの企画から運営・会場設営やイベント用品のレンタルなどの事業を行っています。

その後、兄が会社を継ぎ、WEBを使って日本全国や海外へ事業を展開し、問い合わせや注文を受けるようになりました。仕事の依頼は格段に増えていき、従業員の採用も増え、各地に支店をつくるまでになりました。

そうした事業展開を知った株式会社ステップ（以下、ステップ）の前社長である佐伯 登氏から「ぜひ若い力で会社を伸ばしていってほしい」という話をいただき、M＆Aによりステップはイベント21のグループ会社となり、私が社長に就任することになりました。

ステップの事業内容について教えてください。

昭和23年に初代代表が窓ガラスや鏡などの施工会社として始められたと聞いています。その後、取引先の方から「大阪万博の展示に使うガラスのショーケースを作ってくれないか」という依頼があり、それをきっかけに陳列什器の販売、レンタルが主力事業となり、次第に販売からレンタルへ比重が移っていき、売り上げも順調に伸びていったそうです。

しかし、阪神淡路大震災をきっかけに、催事の主催者の方々の考え方は、服飾陳列什器をいちいちレンタルすると費用がかかると、自分たちで所有するように変わっていきました。それでは当社の事業が立ち行かないので、ガラスショーケースに力を入れていたところ、大手宝飾メーカーからの紹介で、IJK（神戸国際宝飾展）で当社のショーケースが採用されました。店頭に商品を陳列する服飾什器（ハンガーラックや姿見、棚什器など）のレンタルをしている会社は多いのですが、ショーケースを扱っている会社は意外と少ないので、他の会社と差別化でき、この事業を40年以上続けることができたのだと思います。

私が社長に就任して以降は、紙で行ってきた処理のデジタル化を進めるとともに、グループ全体で仕事を受注するなど営業ネットワークを強化しています。また、私自身は、前の職場で培った従業員の育成や現場対応、人事管理や助成金申請についてなどの知識と経験が、社長となった今でもとても役に立っています。

コロナ禍での取り組みについて教えてください。

私が当社の代表に就任して1年経った頃、新型コロナウイルス感染症の影響を受けました。ほとんどの展示会が中止になり、売り上げも9割減少になることもありましたが、これをチャンスととらえ、すぐに感染防止対策アクリルパネルを企画製作し、既に300件以上のお客様にレンタルいただいています。机上用のパネルはよくあると思いますが、背丈ほどの大きさのものを取り扱っている会社はあまりありません。他にも、スーパーのレジなどで使える高い位置のパネルも製作しました。このような工夫がたくさんの方にレンタルいただいている要因だと思います。

これからの課題について教えてください。

高級ブランドの展示では、ショーケースが安っぽいだけで売り上げが全く変わってきます。そういった場に自信をもって使っていただけるほど、当社のショーケースのクオリティとメンテナンスはレベルが高いと思います。

ただ、今の状態を続けていくだけでは会社が衰退していくだけなので、展示会や宝飾関係の催事に限らず、幅広いサービスを行っていかなければならないと考えています。

これからは日本全国で当社の商品を使っていただけるよう、従業員を増やして各地に支店を設置し、外資系ブランドにも商品の販売、レンタル等をしてもらえるよう努めていきます。

さらに、社会貢献できることを考えており、昨年は犬の保護活動を行うハピネスドッグの施設へ寄付も行いました。

これからも当社が存在することで世の中がよくなったとみなさまに思っていただけるよう、挑戦を続けていこうと思います。

― お忙しい中、貴重なお話をいただきありがとうございました。今後益々のご発展を祈念申し上げます。