INTERVIEW会員インタビュー
会員インタビュー
馬場龍+設計事務所GA-PLAN
馬場龍+設計事務所GA-PLAN /
代表・建築家 馬場 龍 氏
―手作り感覚を大切にした品格ある豊かな空間の創造-
馬場龍+設計事務所GA-PLANは、吹田市垂水町に事務所を構え、注文住宅の設計・監理を行っておられます。
創業以来33年間、「相手の喜びは自分の幸せ」を経営理念とし、住まいづくりのこだわりを持ちつつ、奥様と二人三脚で更なる飛躍・発展に向けて事業展開をされておられます。 馬場代表にお話を伺いました。
事業の内容をお聞かせください。
建築の設計・監理を営む一級建築士事務所です。主な用途は注文住宅ですが、リフォーム設計やビルのコンバージョンとリニュ-アル計画、店舗の設計監理なども行っています。
仕事の手順としましては、クライアントから依頼があれば、敷地の調査から始まり、法規制の検討・予算の検討・イメージのラフスケッチ、そして基本図の作成を経てクライアントと打ち合わせを繰り返し、フィードバックを行います。その後、詳細設計図を作成し、行政手続き・見積書の検討を経てようやく工事スタートです。工事が始まれば、現場に出向き設計図通りの工事が出来ているかの構造チェック・細部の納まりチェックと打ち合わせ、クライアントを交えた内外装材の選定などを行います。
最終は、検査機関の法規制検査を受けてようやく完成となります。クライアントから依頼があって設計で半年、長い時は1年、その後工事で半年は要します。計1年から1年半かけて一つの建物を完成させます。
※コンバージョン…建物の用途を変更し再利用すること。
創業のきっかけを教えてください。
父親が滋賀で営繕の仕事をしていて、小さいころから英国製のコンパスや三角定規・図面などを見て育ちました。父親の仕事姿を見てなんとなく「かっこいいな」と思い、それで設計に興味を持ち建築に進みました。
複数の設計事務所勤務を経て、独立したのは33年前(平成2年)です。しかし建築士の資格を持っているからといって仕事があるほど甘い世界ではなく、仕事がないので収入もない生活が1年以上もありました。ある時、妻から全国規模の住宅設計コンペの募集チラシを渡され「やってみたら」の一言で、覚悟を決めて一生懸命それに取り組みました。その結果、470点の応募の中から私の設計案が1等賞に選ばれ、その後少しずつ仕事をいただくようになりました。
住まいづくりのこだわりについてお聞かせください。
楽しく仕事をすることに尽きると考えています。クライアントから依頼があってから少なくても1年以上お付き合いし、一生の買い物の中で一番大きなものをわれわれに託されるわけですから、住まいづくりはビジネスの関係だけではなく、そういうものを超えて、「相手の喜びは自分の幸せ」というような気持ちを持つことが大切だと考えています。
また私どもは夫婦で設計の仕事をしていますので、女性ならではの感性を大切にしています。男性では気が付かない家づくりのポイントはたくさんあります。時には、一見つまらない些細なことでも意外と家づくりの要になります。
経営において一番大切なことを教えてください。
経営というより建築家としてのセンスや感性が衰えないように、日々研鑽することです。優れた建築、そして優れた家具や絵画、工芸品、書道、音楽等々に積極的に接することを心がけています。
お仕事に対する想いについてお聞かせください。
好きでやっている仕事ですので、特別な思いはありませんが、何年たっても色あせしない住まいを造りたいと思っています。若いころは流行のデザインに走っていた時期もありますが、住まいはそういうものではなく、かといって使い勝手優先で成り立つ物でもなく、人と家は一対のものという境地に達しました。注文主のその人らしさ、品格が反映された住まいが理想ではないかと今は思っています。
今後の課題・展望(新しい取り組み)についてお聞かせください。
CADやCG、BIMなどデジタル的な設計作業が主流になってきています。弊所もデジタルツールを駆使して設計に反映させていますが、本来はやはり手を動かして造り上げていくのが最良と考えています。
色鉛筆や絵の具、スケッチブック、昔ながらのツールとデジタルツールを併用し、なおかつアナログ的感覚に重点を置きながら、喜んでいただける住まいづくりをこれからもしていきたいと考えています。
※BIMとは…コンピューター上に現実と同じ建物の立体モデルを再現して、よりよい建物づくりに活用していく仕組み