INTERVIEW会員インタビュー

会員インタビュー

国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センター
産学連携本部長 浅野 滋啓 氏

オープンイノベーションセンターにおける産学連携の取り組み

オープンイノベーションセンターの事業内容についてお聞かせください

国立循環器病研究センター(以下「国循」)は、2019年 7月のJR岸辺駅前「健都」への移転を契機に、世界最高峰の医療研究機関として、研究成果の実用化・社会還元により注力すべく、病院と研究所の二組織に並ぶ形で「オープンイノベーションセンター(O I C)」を新設いたしました。産学連携本部では、O I C の一組織として国循発の研究成果の付加価値最大化と実用化を目指し、民間企業の活力を積極的に呼び込み、産学連携によるオープンイノベーションを推進する様々な取り組みを行ってきております。一 例として、(1)オ ープン イノベ ーションラボ(OI L)、(2)サイエンスカフェ、(3)かるしお®プロジェクト等があります。

オープンイノベーションラボ(O I L)についてお聞かせください

オープンイノベーションラボ(O I L)では、国循の研究者や医師と、民間企業、他研究機関が“一つ屋根の下”で研究開発することを推進することを実現した研究施設です。広さの異なる複数の個室を用意しており、民間企業や他研究機関が、国循の基礎及び臨床の研究者の先生方と、循環器疾患領域に関する様々な共同研究がアクティブに行われています。

サイエンスカフェについてお聞かせください

サイエンスカフェでは、国循の研究者や医師、民間企業、大学など、様々な機関の方々が集まり、学び、情報共有、意見交換などフランクに交流する機会と場を提供するとのコンセプトとして開設しました。基礎と臨床の研究者が行き来し合う病院棟と研究棟の中央に配置し、5つのタイプのセミナー室とオープンスペースのカフェホールを備えています。会員制の「サイエンスカフェクラブ」では、企業やベンチャー、大学等の優れた技術、研究シーズや現場でのニーズ等をお互いに紹介し合うことで、国循と民間企業等とのマッチングや新しい医療技術の創出を促進する様々なシンポジウムやセミナー等のイベントを企画開催すると共に、各種情報の提供や会員間の交流機会の創出を積極的に行っております。

かるしお®プロジェクトについてお聞かせください

循環器病予防の観点からは、食塩摂取量は少ない方が望ましいですが、日本では同量の減少傾向が下げ止まりつつあります。塩をかるく使って美味しさを引き出す国循の病院レシピ「かるしお®」と銘打ち、患者のみではなく広く社会へ提供し、好評を得てきました。レシピ本、認定制度など“かるしお®プロジェクト”として、おいしい減塩食の普及・啓発活動を実施する一方で、食品開発以外のアプローチによる企業との連携にも期待しており、人々の食塩摂取量の低減に資することを目的としています。

今後の取り組みについてお聞かせください

今春、国立研究開発法人が運営するものでは国内初となる共用型We tラボ*「シェアラボ」を国循内にオープンします。現在、個室タイプのオープンイノベーションラボ(O I L)(※上記)を設置しておりますが、その機能を強化し、ライフサイエンス系の実験機器をフルセットで完備した共用機器室を設けるとともに、実験台単位でWe t な実験・研究が可能な共用型ラボ(シェアラボ)として「オープンイノベーションセンターウェットラボ(O WL)」を整備しました。このシェアラボでは、実験機器類を自身で買い揃える必要もなく初期投資をミニマムに抑えて実験・研究を直ぐに開始可能であるため、今後、ここを拠点として、スタートアップや若手研究者等の研究開発が推進され、国循とのコラボレーションによる新たなイノベーションの創出を期待しています。

国循は、企業・研究機関と力を合わせ、最先端の技術や新たな知見を結集していくことで、“循環器病最後の砦”として「循環器疾患の究明と制圧」に向けた研究・開発を一層強力に推進してまいります。

*Wetラボ(ウェットラボ)では、機器・装置や薬品等を実際に使用した実験を行います。一方、ドライラボでは、コンピューター等の端末を用いた机上でのデータ解析や模擬的シミュレーションによる研究を行います。

INFORMATION

国立循環器病研究センター

吹田市岸部新町6番1号

TEL : 06-6170-1069 HP : https://www.ncvc.go.jp/oic/