トラットリア　フィオレット

開店より14年目となる、万博記念公園近くの吹田市・山田東にある18席の小さなイタリア料理店「トラットリア  イル  フィオレット」。オーナーCHEFの山口さんはイタリア料理だけでなく、自家製チーズにも力をいれており、本年3月にアメリカ・ウィスコンシン州で開催された「ワールドチャンピオンシップチーズコンテスト（WCCC）2022」でゴールド受賞（部門1位）を獲得されました。今回は、CHEFとオーナーソムリエー ルをつとめる山口ご夫妻にお話をうかがいました。

現在の店舗について

私は、調理人として各地の店舗で働いてきました。

その間、料理長以外にもソムリエ、支配人など料理以外の仕事も経験を積ませていただき、2009年に独立し、現在の店舗をオープンさせました。

にぎやかな雰囲気の中で慌ただしく営業するよりも、郊外の住宅街でお店をやるのが夢でした。マイペースな自分の性格に合わせて、確実な一歩を踏み出せるようにしたかったので、現在の吹田市山田東の場所を選びました。

どのようなお店なのですか

イタリア料理を基本ベースとして、フレンチやエスニック、和のエッセンスを取り込んだ、CHEFのお料理とソムリエ厳選のイタリアワインとのマリアージュを楽しみ、非日常で上質な空間で、お客様にとって大切な人との有意義な時間を過ごしていただけるお店づくりを目指しています。また、食材で手作りできるものは、すべて手作りすることを信条としています。

私は、ソムリエ、チーズプロフェッショナルの資格を持っており、伝統的な保存食を得意としています。搾りたてのジャージーミルクから仕込む自家製チーズや長期熟成の自家製骨付き生ハムや様々なサラミなど、各種仔牛・仔羊・黒豚・猪・鹿等は半頭又は一頭仕入れで、畜肉加工品を仕込みます。自家農園では野菜やハーブ、果実やエディブルフラワーなど年間80種以上を栽培し、当日予約分を朝に摘み取り、香り高いまま料理に活かしております。

自家製チーズの取組みについて

現在まで何年も通っていただいているご常連さんのお話なのですが、実はチーズが苦手だったそうです。初めてのご来店の時に自家製チーズがあるレストランと知って、ご自身はチーズが苦手なことを言うに言えなかったそうなのです。

しかしながら、当店のチーズを食してみると、「イルフィオレットのチーズは美味しく食べられた！」という体験を、初めてのご来店から何年も経ってからお聞きしました。自家製チーズにさらに力を入れるようになったのは、ちょうどこの頃からです。

その後、いろいろなメディアで取り上げていただくようになり、当店の自家製の生ハムやサラミ、チーズなどを楽しみにご来店されるお客様も増えたため、乳製品製造業の認可を保健所より得てからは販売も手がけています。

さらにその商品をチーズの品評会に毎年出品し、 2018年に初受賞してからは連続受賞を継続しています。そのことで商品の魅力を全国的に宣伝し、売り上げに貢献できる強みとなりました。

また、国内に留まらず、2022年3月に米ウィスコンシン州マディソンで開催された『ワールドチャンピオンシップチーズコンテスト（WCCC）2022』に於いて、当店のチーズ「黒花～こっか～」が金賞を受賞したことで、自信が確固たるものとなりました。

貴店の今後について

オープンから13年が経過し、常連のお客様もずいぶん増えました。しかしコロナ禍においては厳しい経営状況が続いています。

そこで自家製品を得意とする当店が次に取り組むのは、愛媛県庁より「食の大使館」として任命されている当店の利点を活かし、愛媛県の特産でもあるチョウザメを使った自家製キャビアの開発に挑戦しようと考えています。

高級食材であるキャビアは、現在はほぼ輸入に頼っています。しかし、国内で鮮度が良いうちに加工をすると、塩分を控え「より卵そのものの味を生かした」味わいに仕上げることが可能となります。これを当店で手作りし、まだまだ国内では非常に珍しい「国産キャビア」を手掛け、レストランでの提供と販売に力を入れます。

また、せっかくの自家製チーズをより多くのお客様に召し上がっていただくために、「自家製チーズをふんだんに使用したコース」を現在模索中です。

金賞を受賞したチーズをはじめ、前菜からデザートまで、コースの全てに自家製のチーズを様々な料理手法で味わっていただく。そのまま召し上がっていただくものもあれば、焼いたチーズ、自家製ならではの、できたてでミルクの味わいを存分に生かしたチーズなどを組み込んだコースを提供したいと考えております。

― 貴重なお話をありがとうございました。今後益々の ご発展をご祈念申し上げあげます。