有限会社　さんぱつや

「有限会社さんぱつや」は、土屋会長が平成6年に吹田市樫切山で創業された理容店です。地域に密着した「地域一番店」を目指して出発し一時は25店舗年商5億まで成長しましたが、長年働いてくれている店長に店舗を売却し今現在は4店舗をサポートしキャリアコンサルタントとしても活動しています。

コロナ禍の厳しい状況下においても、訪問理美容サービス事業の拡大やシャンプー、育毛剤など自社ブランド製品の開発など新たな事業に果敢に挑戦されています。 同社を率いる土屋会長にお話を伺いました。

なぜ、訪問理美容サービスを始めようとしたのですか。

初めは、地元である吹田市樫切山で普通の散髪屋を営んでいました。地元の学生時代の友人の髪を切っていた際に、友人の親父さんが最近来ない事を訊ねました。すると、足腰が不自由なったという事であり、友人のよしみで散髪に行ってあげた処、非常に感謝されたことが始まりでした。

その後も本業をする傍ら、訪問サービスを行っていた処、介護事業者より施設に入所する患者さんの為に来て欲しいという依頼を受けました。そして、介護施設に赴き、散髪をした処、患者さんとその家族が「お父さん、格好よくなったね」と涙を流して感謝をしてくれました。これまで、仕事をしてきてここまで感謝されたことがなかった為、非常に衝撃を受けましたし、とてもやりがいのある仕事だと実感しました。

それからは、保健所や医療関係者の方を交えて、体が不自由な患者さんに負担をかけずに、より良い理美容サービスを提供できる方法について意見交換を重ねました。その結果、散髪の仕方を工夫し、どこでも散髪ができるように訪問理美容サービス用の出張車を整備し、本格的サービス提供に乗り出しました。当時、見習いだった従業員も運転免許やホームヘルパーの資格を取得するだけでなく、美容師としてのスキルも身に付けていきました。

現在では、人材にも恵まれ、訪問理美容サービス事業を大阪府内全域に拡大させることが出来ました。

コロナ渦での取り組みについて教えてください。

一時は来て下さるお客様が減ってしまいましたが、最近は戻ってきています。しかし、店内や機材の消毒を繰り返ししなければならなく、手間や準備にはより時間が掛かってしまうようになりました。その影響で以前と比較すると収益性は悪化しましたが、だからといって、サービスが向上した訳ではないので、料金を上げる訳にはいけません。

そこで、我々の強みである訪問理美容サービスに力を入れています。コロナの影響によって、介護施設や病院から外出できない方が増えてしまいましたので、ニーズは拡大していると考えています。

吹田市は周辺都市に比べて訪問理美容サービスの依頼が少ないので、もし髪を切りに行けなく困っている方がいらっしゃいましたら、ご相談いただければと思います。

事業をする上で心がけていることは何ですか。

お客様が喜んでもらえるようなサービスを提供することは勿論のことですが、一緒に働く従業員が安心して働けるような環境を提供できるように心がけています。

訪問理美容サービスは、あくまで「行きたくても行けない身体が不自由な方限定」とさせていただいています。しかし、当初は連絡があって女性の従業員が散髪をしに家に行った処、実は健康な男性だったという事がありました。見ず知らずの男性の家に女性が一人で入るという事はあってはならないと思い、それからは初めてのお客様は女性のみで訪問しないようにルールを整備しました。

一緒に働く従業員には、安心して自分の仕事に専念していただきたいと思っています。その為にも、福利厚生面の充実や労働時間などの労働環境を整備しなければならないと取り組んでいましたが、コロナ禍でより仕事が減り、従業員の雇用を守ることの重要性を今一番痛感しています。

今後の事業展開について教えてください。

初期のコロナ禍で仕事が殆どなくなってしまった時期に、従業員と共に何かできることがないかを考えて、我々美容師が推奨できる本当のオーガニックを追求した自社ブランド製品のシャンプーや育毛剤の開発に着手しました。その結果、おそらく国内初だと思いますが、COSMOS認証、HALAL認証、VEGAN認証を受けた商品を開発する事ができ、物販も始めさせていただきました。本当に良い商品ですので是非ともご利用いただければと思います。

昨年の従業員の仕事がなくなってしまう状況を防ぐためにも、既存のサービスだけでなく、新しい分野の事業にもこれまでの経験やスキルを活かして挑戦したいと考えています。そして、このコロナ禍に負けず事業を継続して、人々に喜んでもらえるようなサービスを提供していきたいと思います。

― 今後とも御社のご発展を期待しております。貴重なお話をありがとうございました。