INTERVIEW会員インタビュー
会員インタビュー
株式会社 ディバイン

株式会社 ディバイン /
代表取締役 掃部 聡 氏
空の移動革命・空飛ぶクルマへの挑戦
2019年8月5日、日本電気株式会社(以降NEC)は日本初となる”空飛ぶクルマ”の飛行試験に成功したことを発表しました。
株式会社ディバインは、このNECの空飛ぶクルマの開発プロジェクトチームに参画され、飛行試験で使用された試作機の機体デザインと製作を手掛けられました。
同社は吹田市広芝町に事務所を構え、サイン(看板)のデザイン、製作、施工を中心に、内装や空間演出、プロダクトデザインを行っておられます。 同社にとっても新分野への挑戦となる空飛ぶクルマの開発への取り組みについて、代表取締役の掃部 聡 氏にお話を伺いました。

空飛ぶクルマのプロジェクトに参画された経緯を教えてください。
プロダクトデザインの仕事で関わっていたNECのエンジニアの方より、「誰もやったことがない案件ですが、是非一緒にやりませんか」と空飛ぶクルマのデザインのオファーを頂き、プロジェクトを進める中で機体製作から飛行試験まで一貫して取り組むことになりました。
空飛ぶクルマという世の中にない全く新しいものを作るうえに、素材や構造分析等、貴社にとっても新分野へ挑戦されることに対して迷いはありませんでしたか。
迷いは一切ありませんでした。私は普段から取引先の方に「誰にもできそうにない仕事をください。」と言っ
ています。今回の依頼を受けたときは、やりたいと思ってもなかなかできないことに関わること、想像できないことに取り組むことが楽しみでした。また、サイン(看板)の仕事はデザインや意匠的要素、素材の選択や機能の考案、建築的要素もあり、その部分では繋がるところもあります。
プロジェクトの中ではどんな役割を担っておられるのですか。
機体デザインから製作、完成品の魅せ方まで全般のことに携わっています。昨年5月頃にプロジェクトに参画し、まずは自分が思うようにデザインを描きました。その後8月にイベント向けのモデル機を製作、最終的には実際に飛行する試作機を製作しました。モデル機は非常に短期間で製作する必要がありましたが、9月に開催された「空の移動革命に向けた官民協議会」で中央に展示されました。実際に飛行する試作機のデザイン・製作にあたっては、軽量でありながら強度があり、かつ空力の影響も考慮するなど、全体のバランスが重要です。特に軽量化は苦労したポイントで、NECと協力しながら素材を探し当てるところから始まりました。
素材はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用し、強度を確保するためのモノコック構造を研究しながら改良を繰り返しました。今年夏にはメディアを招いての公開飛行試験が行われ、主要メンバーとして貢献することができました。公開飛行試験では試作機が多くのメディアに取り上げられました。
製作にあたってアイディアの源泉となるものは何ですか。
多岐に渡って様々なことに関心を持つようにしています。自分の興味や趣味の中で物事を考えると、自分の経験値の延長線上のものしかできません。私は自分の経験したことでも「普通」という感覚は持たず、自分が知っていることでも疑って考えるようにしています。アイディアに詰まったときには、同分野の方ではなく全く関係のない異分野の方の話を聞いてヒントを頂いています。
デザインに関しては、どんなものに心を打たれるような感動があるかを考えると、動植物の形や色、自然の摂理といったものに行き着くことが多いです。今回の試作機に関しても、例えばトンボはなぜ飛ぶのだろうか、ということを考え、形は自然のものを参考に、見た目は有機的にならないよう人工的なデザインを意識しました。
空飛ぶクルマのプロジェクトの今後の動きについて教えてください。
2023年にモノの輸送における実用化、2030年代には人の移動における実用化を目指しています。NECは飛行における管理管制システム等の開発を進めながら、関係団体や他社との連携を図り、実現に向けて取り組んでいます。当社もチームの一員として尽力しています。また、可能であれば2020年の東京オリンピックや2025年の大阪万博でも何か成果をお見せすることができればいいなと思っています。
貴社の今後の展望について教えてください。
サインの仕事でも空飛ぶクルマの仕事でも、名前はクレジットされなかったとしても「誰かがやっている」ことの「誰か」になりたいと思っています。どんな仕事においても自分の歩みを止めるような思想にならず、行動、実行する中で考え、意思とやりがいを持って完成させることに価値を感じています。
-貴重なお話をありがとうございました。今後益々のご発展をご祈念申し上げます。


INFORMATION
