INTERVIEW会員インタビュー
会員インタビュー
そば処 万両(有限会社 万両)

そば処 万両(有限会社 万両) /
代表取締役 杉本 良一 氏
時代と共に常に前に進むことが大切
JR吹田駅前の旭通商店街に店舗を構える「そば処万両」は、昭和11年に食堂として開業され、今年で83年目を迎えられました。
三代目店主である杉本良一氏は、大阪府麺類食堂業生活衛生同業組合の理事長に就かれ、平成29年に産業振興並びに業界の発展に尽力されたご功績により、藍綬褒章を受章されておられます。
これまでのお店の歩み等について、代表取締役の杉本良一氏にお話を伺いました。

お店の経緯を教えてください。
祖父が吹田市山田の出身で、昭和11年にJR吹田駅前にて食堂を開業したのが始まりです。その後、父が戦地から帰還し、食堂の裏で製麺所も営み、昭和31年に食堂とともに法人化しました。その後、製麺機械のオートメーション化が進展しましたが、オートメーション化をするには手狭なため製麺所を閉鎖することにしました。
そして平成3年にテナントビルに建て直し、現在のお店である「そば処 万両」として食堂だけにしました。
事業承継にあたってご苦労されたことはありますか。
大学では、サラリーマンになるつもりで、土木科で学んでいたのですが、卒業してすぐに製麺所で働くことになりました。その後、平成3年42歳の時に経営を引き継ぎテナントビルを建てて現在の店構えにした時は借金もある上、仕事は製麺しか経験がなく新たな「そば店」の開業については、製麺以外のことは全く分からず、メニュー構成、出汁の味付けなど、一からの勉強でした。お客様に認めていただくことも大切ですが、職人さんに店主として認めてもらうことに苦労しました。店が軌道に乗るまで、組合等でそば店のノウハウについて勉強させていただき本当に助かりました。
試行錯誤を重ね自分が満足できるお店になるまで、10年ほどかかったように思います。今では、かつお節を触った時の手触りで乾き具合が分かるようになりました。
お店の特徴、こだわりについてお伺いします。
なんといっても自家製麺です。北海道産そば粉を8割強使用し、毎朝手打ちをしています。冷と温の麺は、比率を変えているため2種類作っています。ダシは、昆布と削り節の4種をベースにしています。季節、気温によっては削り節の入れるタイミングを変えたり、昆布の浸ける時間も変えています。
また、「かけそば」用の出汁と「つけそば」用のダシの2種類を作っています。メニューは定番もありますが、季節ごとにアレンジをしています。
永くお店を続けることで大事なことは何ですか。
昔と同じことをしていては時代の流れに乗り遅れるので、常に思考錯誤しながら前に進むことが大切だと思っています。時代とともにお客様の嗜好も変わってきますので、ただ変化させるだけでなく、お店としての芯を保ちつつ、時代にあったメニューや味付けを工夫していくことが必要だと思います。特に、出汁は同じ材料を使っていても気候等により微妙に変わるので常に研究しなければなりません。
そのため、探求心が強く、今でも話題のお店があれば食べに行き勉強をしています。
もう一つは、自分の店だけでなく業界、地域が発展してこそ、自分の店も長く続くものだと思っています。そのため、積極的に業界や地域の役もしています。
今後の展開についてお伺いします。
自分の代だけでなく、二世代・三世代が繁盛する店にしないと長続きしないと思っています。幸い長男と次男が店で頑張ってくれていますので、上手く引き継ぐ方法を考えています。
-貴重なお話をありがとうございました。今後益々のご発展をご祈念申し上げます。



INFORMATION

そば処 万両(有限会社 万両)
吹田市元町6-8(旭通商店街)
営業時間 11:00~20:30
定 休 日 毎週木曜日