INTERVIEW会員インタビュー
会員インタビュー
有限会社 カワムラ化工

有限会社 カワムラ化工 /
代表取締役 河村 佳子 氏
小さな町工場から30年 丁寧かつ正確なモノづくりの精神を心がける
有限会社 カワムラ化工は、昭和60年4月に会長の河村良弘氏(父親)が河村製作所として創業され、社長の河村佳子氏は2代目になられます。同社は加工会社として、フッ素樹脂切削加工などを協力会社である淀川ヒューテック株式会社から請負っておられます。
河村佳子社長は創業時に入社され、その数年後に職人に専念するため会長になられた先代にかわり、社長に就任されました。
河村佳子社長に、創業時から現在までの歩みなどや、最近の人手不足対策についてお伺いしました。

創業の経緯と会社の歩みについてお伺いします。
父(会長)は、創業前は協力会社の従業員でした。従業員として10年間働いた後に、独立を決断して協力会社の加工部門として、前身となる河村製作所を立ち上げました。 最初は10坪程の小さな町工場を間借して、旋盤1台からスタートしました。その当時は、近隣からの出火で工場が半焼し、さらに、バブル崩壊やリーマンショックの際には経営が悪化したため、廃業を考えたこともありました。
現在では、こういった苦難を乗り越えて、工場は40坪、従業員は12名を雇用し、機械設備も充実させたことで、小さな町工場から徐々にではありますが脱皮しつつあります。
加工会社の難しいところは何ですか。
弊社のモットーは、「丁寧かつ正確なモノづくりの精神を心がける」ことです。と言いますのは、フッ素樹脂加工は金属加工とは違って、気温の変動による影響を受けやすいため、大変品質管理が難しく、温度と寸法の管理を徹底する必要があります。
そのため、温度管理は誤差をプラスマイナス1度以内に徹底しなければなりません。ただ単に温度管理といっても“室内温度”と“材料温度”の両方の管理が必要となります。材料の温度は電気炉を使い温度調節を行い、そして、寸法の管理は誤差0.1mm以下にしなければなりません。万が一この温度管理を怠り、寸法誤差を超えた製品を製造した場合、ユーザーからの返品となり、大きな損失となってしまいます。
故に「ユーザーのご要望に応える」を、モットーとして弊社は品質管理を徹底しています。
人手不足について、どのような対応をされていますか。
弊社の従業員は12名ですが、半数以上が女性パート従業員となっています。加工現場ではNC旋盤や卓上旋盤などの機械による工程も多くある一方、最終の仕上げはどうしても手作業になります。
1ミリ以下の小さなバリ(素材の出っ張り)を手作業で除去するためには細かい丁寧な作業が続けられる女性従業員が必要となります。しかし、この女性従業員の定着率は、ここ数年間大きな課題でした。製造加工業ということで単調で厳しい作業工程が多いこともあって離職率が高く、従業員のうち最も長い人でも4年で、これをどうすれば伸ばせるかを悩んでいました。
そして、この解消には働き方改革が必要だと感じ、最初に取り組んだのが、出・退勤時間の自由化です。従業員のプライベートと仕事を両立できるよう、出・退勤時間を固定化しない方がいいのではないかという発想から
でした。この取組みによりパート従業員が増加するとともに、定着率も向上しました。現在では過去最多のパート従業員数になり、操業が楽になりました。
そして、昨年より障がい者雇用にも取り組んでいます。1年前に初めて採用した時は、何から始めればいいのか不安でした。そのような時、商工会議所から「すいた就業・生活支援センター」をご紹介いただき、仕事内容や欲しい人材についてヒアリングを受け、後に吹田市内の就労支援団体を数社ご紹介いただきました。
その後、数名の現場実習終えた中から1名を採用させていただくことになりました。コミュニケーションが苦手ということで、当初は不安なこともありましたが、思っていた以上に挨拶もしっかりでき、自分で考えて行動され、会社にも自然に溶け込まれた様子です。まだ雇用期間は1年と短いですが、採用して良かったと思っています。
今後の展望についてお尋ねします。
弊社の経営理念は「樹脂加工において社員相互信頼のもと、お客様へ高品質で安定した製品をスピーディーな対応でお届け、丁寧かつ正確なモノづくりの精神をもって職場の活性化および技術の継承に取り組み、前進して参ります」と掲げています。
今後事業を発展させる上で、今まで培ってきた技術の継承に力を入れることと、職場の活性化のため更なる働き方改革を進め、小さな町工場でも成り行き経営ではなく、会社組織としてしっかりとした計画のもと、会社の発展・成長を目指してまいります。
-貴重なお話をありがとうございました。今後とも益々のご発展をお祈り申し上げます。

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