INTERVIEW会員インタビュー

会員インタビュー

株式会社 アリック

株式会社 アリック
代表取締役 吉原 則雄 氏

小さな町工場から30年 丁寧かつ正確なモノづくりの精神を心がける

 大阪メトロ江坂駅を西に5分ほど歩いた事務所などが建ち並ぶ一角に、「若い人たちが多く集まっている」と注目されているお店があります。

そのお店では大人が4、5人が入れるようなひと際大きなトートバッグが目に飛び込んできます。吹田市豊津町に本社を構えられ、鞄、靴、服飾雑貨、生活雑貨などの企画・製造・販売などを手掛けられている株式会社 アリックです。モデルでタレントのアンミカさんのブログや関西テレビなどのメディアで取り上げられ、今そのデザイン性などに注目が集まっています。お店では、お客さまが色々な素材を自由に組み合わせた自分だけのトートバックを作ることができます。

吉原社長に今日までの道のりについてお話しをお伺いしました。

創業された経緯などについて教えてください。

私は、子どもの頃から画家になるのが夢でした。そのため10代後半から20代前半にかけてはヨーロッパで数年過ごしました。その後帰国して、当時流行っていた反体制的な演劇や映画、音楽など、アンダーグラウンドな芸術活動の中でアーティストとして過ごしていました。

しかし、70年代後半にオイルショックやドルショックなど経済の大きな変化が起こり、高度成長のおこぼれで収入を得ていた不安定な生活を変えざるを得なくなりました。その後の30代の10年間は、縁あって大手スーパーダイエーの新事業のプロジェクトに採用されモーレツ社員として商品開発や海外仕入れを経験しました。

10代20代の芸術活動に明け暮れたのを私の原点とすると、この会社で得た経験は今の私のもう一つの原点かもしれません。40代になった頃から、ただ価格だけを追求する「ものづくり」に疑問を感じ始め、42歳のときに会社を辞めて海外での「ものづくり」を始めました。

事業内容について教えてください。

もともとは雑貨のOEM(相手先ブランドによる生産)が主力で、2004年に中国で靴の委託生産を始めました。その後、中国の急激な人件費の上昇に将来赤字に陥ることを懸念して、日本での生産を模索し始めました。

日本の「ものづくり」といえば、手作りの良さがクローズアップされていましたが、「次の時代にあったものづくり」として、ハンドメイドと機械をケースバイケースで使い分けることを重視し、2010年から設備投資を積極的に行い国内で自社生産を開始しました。2012年には兵庫県丹波市に工場を建設し、現在、国内外の有名セレクトショップで販売している自社のスニーカーブランド“BUDDY(バディ)”を立ち上げました。

事業の強みについて教えてください。

弊社の強みは、本社内にある「商品開発ラボ」での自社ブランドの開発です。そこでは社員が、仕事の合間を見て自由な発想で思い思いに〝自分の靴や鞄”を作り始めます。単純作業ばかりだと面白くないから、自分の好きなこともやってもらいます。それは技術の習得にもつながります。ここは一種の実験の場であり、ここでの取り組みが新しいブランドを生み出す源泉になっています。

商品開発ラボで試作を行い最新設備の自社工場でほぼすべての商品を製造しています。

今後の展望についてお聞かせください

国内、海外での自社ブランドの展示会開催を行うと共に、お客様の好みに合わせてカスタマイズできるバッグ等を直営店舗、ネット等で販売していきます。そして、弊社の製品を扱う店舗のフランチャイズ展開も始めようと考えています。また、弊社の設備を使ってもらい、外部の人にも役立ちたいという思いもあります。

中小企業が、互いにメリットを感じ助け合い、社内だけを考えて視野を狭くするのではなく、もう少し広い目で、業界にとって何かできることはないか日々模索しています。

貴重なお話をありがとうございました。今後とも益々のご発展をお祈り申し上げます。

INFORMATION

株式会社 アリック

564-0051 吹田市豊津町12-34

TEL : 06-6388-1350 HP : http://wwww.aric.co.jp